夜と朝の「ひとさじのはちみつ」習慣
古くから愛された自然の万能薬
はちみつは昔から健康や長寿の鍵と考えられ、多くの文化で「自然の万能薬」として愛用されてきました。古代エジプトの医療文書(エーベルス・パピルスなど)には、はちみつを用いた内服薬や外用薬のレシピが記されており、傷の治療や軟膏に活用されていました。ギリシャの医聖ヒポクラテスも炎症や潰瘍の治療におけるはちみつの効果を称賛しています。インドのアーユルヴェーダや中国の伝統医学でも、はちみつは呼吸器から消化器まで幅広い不調に効く薬として登場します。実際、中国・明朝の薬学書『本草綱目』には「十二臓腑の病、宜しからずというものなし(あらゆる臓器の不調に効果がある)」と記され、眼病・皮膚病・呼吸器・消化器などあらゆる疾病に有効なものとして紹介されています。このように歴史的にも高く評価されてきたはちみつですが、近年の科学的分析によってもその有用性が裏付けられつつあります。
はちみつに含まれる栄養と作用
はちみつの主成分は糖質ですが、ただの甘味料ではありません。約80%がブドウ糖や果糖などの単糖類で構成され、残りの数%に有機酸、酵素、ポリフェノールなど200種類以上の生理活性物質が含まれています 。精製された砂糖と違い、はちみつの糖分の多くは最初からブドウ糖と果糖に分解されているため、消化を経ずに素早く吸収されエネルギー源となります。さらにビタミンB群(B6、チアミン、リボフラビン、パントテン酸、ナイアシン等)やビタミンC、そしてカルシウム・鉄・銅・マグネシウム・カリウム・亜鉛など27種類ものミネラル、22種類のアミノ酸、5,000種類の酵素を含むことが報告されています。こうした豊富な栄養素に加え、はちみつにはポリフェノールをはじめとする抗酸化物質が多く含まれており、抗菌作用や抗酸化作用を示します。実際に、はちみつには強い抗菌性が認められており、約60種類の細菌の増殖を抑えるとともに、抗生物質耐性菌の出現を防ぐ可能性があるとする研究報告もあります。こうした科学的知見は、古来「はちみつは万能薬」とされたことにもうなずけるものだと言えるでしょう。
就寝前にひとさじのはちみつ ~喉・粘膜の癒しと安眠効果~

夜寝る前にはちみつをひとさじ摂ることは、体調管理に大いに役立ちます。医薬品としてみた場合、はちみつが最も得意とする分野の一つが傷ついた細胞、とくに粘膜の修復です 。人間の体は一般に、夜間睡眠中(特に午後10時から午前2時頃)に細胞の修復・再生が活発になるとされます。そのタイミングに合わせ、喉の痛みや胃の不調を感じるときには寝る前にはちみつをゆっくり飲み込み、患部をコーティングするように行き渡らせて休むことで回復が早まる――これは理にかなった自然な方法と言えるでしょう 。実際、臨床研究でも就寝前のはちみつが咳止めシロップより咳を鎮め、睡眠の質を向上させる効果が示されています。例えば米国で行われた105人の小児を対象とする比較試験では、寝る前にはちみつを摂ったグループが、市販の鎮咳成分デキストロメトルファン投与群や無治療群に比べて夜間の咳の頻度・深刻度が最も大きく減少し、子ども本人と両親の睡眠が明らかに改善しました 。研究者らは、はちみつが喉をやさしく覆って粘膜を保護する作用に加え、高い抗酸化・抗菌作用が、この咳・喉への効果に寄与している可能性を指摘しています。さらに興味深いことに、がん治療中の患者で口内炎(口腔粘膜炎)の痛みや重症度を緩和する目的で蜂蜜を応用した臨床試験も行われており、蜂蜜の使用によって重度の粘膜損傷の発生率が減り、痛みが軽減し、治癒が早まるとの報告もあります 。こうした知見からも、就寝前のはちみつは喉や消化管など傷んだ粘膜の修復を助ける心強い味方と言えるでしょう。
意外なことに、「寝る前にはちみつなんて甘いものを舐めて大丈夫?虫歯にならないの?」と思われるかもしれません。しかしご安心ください。はちみつを口内に行き渡らせることは、実は虫歯や歯周病の予防にもつながるのです 。はちみつには殺菌・抗炎症作用があり、口腔内の虫歯菌や歯周病菌の増殖を抑えてくれます。蜂蜜に含まれる酵素(グルコースオキシダーゼ)は水と反応して過酸化水素(オキシドール)を生成し、この作用で口の中の細菌を殺菌し酸の発生を抑制します。その結果、歯垢(プラーク)の形成や歯肉の炎症を防いでくれるのです。 実際、寝る前にはちみつをひとさじ舐める習慣を始めてみると、翌朝起きたときの口内の爽快さに驚くという人もいます。はちみつで口の中を潤して休むことで、就寝中の細菌繁殖や口腔内の不快感が軽減され、朝の口臭やネバつきが減ったと感じられるでしょう。
さらに、はちみつには緩やかな鎮静作用があり、ストレスを和らげて安眠を促す効果も期待できます。はちみつの主成分であるブドウ糖や果糖は単糖類であり、胃腸に負担をかけず素早く吸収されて脳と身体にエネルギーを補給します。夜、はちみつを摂ることで血糖値が安定すると、アドレナリンの過剰分泌が抑えられリラックスしやすくなります。また、はちみつには微量ですが神経を落ち着かせるトリプトファン(体内でセロトニンやメラトニンの材料となる必須アミノ酸)も含まれており、これらの作用が相まって寝つきを良くし深い眠りを誘うと考えられています。実際、「ホットミルクにはちみつ」を眠れない夜の一杯として勧める民間療法は世界各地にありますが、現代科学もその経験則を部分的に裏付けていると言えるでしょう。仕事や勉強でストレスフルな一日を終えた夜、はちみつの優しい甘さと香りをゆっくり味わえば、一日の緊張がほぐれて心身ともにリラックスできます。はちみつに含まれるビタミンやミネラルが体に染み渡り、傷んで疲れた細胞が癒やされていくのを感じながら、穏やかな眠りにつくことができるのです。
朝起きてひとさじのはちみつ ~脳のエネルギーと栄養チャージ~

夜だけでなく、朝目覚めた直後にもはちみつをひとさじ取り入れる習慣は、一日のスタートを力強くサポートしてくれます。寝起きの脳はエネルギー不足でぼんやりしがちですが、前述のとおりはちみつの糖分は消化を待たずにダイレクトに吸収できるブドウ糖と果糖から成るため、目覚めたての脳に即座に燃料を供給してくれます。砂糖(ショ糖)のように分解に時間を要する二糖類とは異なり、はちみつの単糖類はスプーン一杯でも即効性のあるエネルギーチャージとなり、寝ぼけた頭がシャキッと冴えるのを助けます。
さらに、朝のはちみつ習慣は一日の栄養補給の観点から見ても理想的です。はちみつは前述したようにビタミン・ミネラル・アミノ酸・酵素など様々な栄養素の宝庫です。クエン酸・グルコン酸・コハク酸などの有機酸や、アミラーゼ(デンプン分解酵素)・グルコースオキシダーゼ(殺菌酵素)などの酵素類、ビタミンB群(ビタミンB6、チアミンB1、リボフラビンB2、ナイアシンB3、パントテン酸B5、葉酸B9、コリンなど)やビタミンC等の各種ビタミンをバランスよく含んでいます。加えて、体内で合成できない必須アミノ酸を含む全20種類ほどのアミノ酸や、カルシウム・鉄・銅・マグネシウム・マンガン・カリウムなど人に必要な27種類のミネラルも少量ながら網羅しています。さらにはポリフェノールをはじめとする抗酸化物質も豊富で、細胞を酸化ストレスから守るのを助けてくれます 。まさに「栄養の詰まったひとさじ」がはちみつなのです。
このような理由から、朝起きてまずひとさじのはちみつを舐めることは、身体にエネルギーと栄養を速やかに送り込む理想的な習慣と言えます。例えば朝食前にコップ一杯の白湯やレモン水にはちみつを溶かして飲めば、寝ている間に失われた水分補給と同時に、脳と身体にブドウ糖が行き渡り代謝がスムーズに始動します。ビタミンやミネラルも吸収されやすい形で摂取できるため、朝イチの栄養ドリンクのような役割を果たしてくれるでしょう。実際、スポーツ選手が試合前に蜂蜜を摂取して血糖値を安定させ持久力を高めるといった利用法もあります 。日々の生活でも、朝のはちみつがあれば通勤通学や午前中の活動を元気に乗り切るエネルギー源となってくれるに違いありません。
おわりに:一日を支える「自然の甘味」をひとさじずつ
朝晩の「ひとさじのはちみつ」習慣は、古来の知恵と現代の科学の双方に裏打ちされた健康法です。夜には喉や体を癒やし、安眠を誘うナチュラルなナイトキャップに。朝には素早いエネルギー補給と豊富な栄養で体にエンジンをかけるナチュラルサプリに。砂糖の代わりに純粋な生はちみつを生活に取り入れることで、私たちは薬に頼りすぎずに自己治癒力や自然治癒力を高める手助けができます。ぜひ今日から、寝る前と起き抜けのひとさじを試してみてはいかがでしょうか。その小さな習慣が、毎日の健康と活力に大きな違いをもたらすかもしれません。
※注意:はちみつは1歳未満の乳児には与えないでください。
参考文献:
- 前田京子. 新装版 ひとさじのはちみつ 自然がくれた家庭医薬品の知恵. 集英社, 2025 .
- Terwilliger Dental. Surprise! Honey May Actually Improve Your Oral Health (2021) .
- Reuters Health. Honey eases nighttime cough (2007) .
- Vinmec International Hospital. Should we take one spoon of honey before bed? (2024) .
- Al-Jabri AA. Honey, its medicinal property and antibacterial activity. Cent Asian J Glob Health. 2016;5(1):241 .
- American Academy of Pediatrics. Honey helps quiet cough (AAP News, 2008) .
- Alastair M. Honey in alleviating severe oral mucositis among head and neck cancer patients. J of Med Sci. 2023 .
- Dr. Josh Axe. Honey Benefits for Energy, Improving Health & Why It Should Be Raw (2023)
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